単葉型のRiemann面
僕と同じく昨日は1日が24時間より長かった方こんばんは。
その他の方、おはようございます。
完全に昼夜逆転です。
昨日はバレンタインデーでしたが、チョコレートがドロドロと溶けて変形していくのを想像してなんだかトポロジカルだなあなどとバカなことを考えておりました。恋はトポロジーっていう歌ありそうですね。
先ほどまで単葉型のRiemann面のお勉強をしておりました。お供は小平先生の『複素解析』であります。
(ここから先勉強したことをただ書いているだけなので面倒な方は最後のP.S.に是非飛んでもらって結構です。)
Jordanの曲線定理の結果から区分的に滑らかなJordan閉曲線γをRiemann面Rから除くと、一つの領域か、共通点を持たない二つの領域に分かれます。
(前者は例えばトーラス、後者だとC(複素平面)があります。)
後者の場合、つまり、
区分的に滑らかなJordan閉曲線により常にRiemann面Rが二つの領域に分割される
場合Riemann面Rを単葉型(たぶんschlichtartig)といいます。
でこの単葉型のRiemann面を分類していきたいわけです。
R Riemann面
C 複素平面(もしかしたら曲線Cと混同するかもしれません、あしからず)
S Riemann球面(Cに無限遠点を加えたもの)
γ 区分的に〜Jordan曲線(文脈によって閉曲線もこれで表します)
とします。
まずRが単一連結(普通は単連結と言うのでしょうか)なRiemann面の場合、Rは単葉型になります。
略証(ちゃんと書くと著作権の問題がありますので)
閉曲線γにより、Rが二つに分かれなかったと仮定します。
γの内側U+と外側U-でちょっと様子の異なるU^+上ののC^∞関数ρをとります。
具体的にはCのある近傍Vで
suppρ⊆(U+)∪C、( (U^+)∪γ )∩Vでρ=1
を満たすようなもの(bump functionの素みたいなのを使うとできます)です。
γ上のある点qをとってその点を通り、γの内側と外側に跨がる曲線λ(t)をとります。
具体的にλ(1/2)=qでλの定義域を0≦t≦1とし、λ(1)は内側、λ(0)は外側にあるとします。うまくλをとってVに入るようにしておきます。
さてRから曲線γを除いた集合は仮定から領域なのでλ(0)とλ(1)をR-γ内の滑らかな曲線λ'で結べます。
そこでλ'とλをこの順に繋いで閉曲線λ''=γ'+λを作ります。
先ほどのρの微分である1-form dρ をλ''上で積分します。単一連結性からこの値は0となるはずですが、計算結果は
ρ(λ(1))-ρ(λ(0))=1
で矛盾です。
と言うわけで、単一連結なRは単葉型なわけです。例えばSやその部分領域、例えばCは全て単葉型です。
この証明は微分形式のある種の異常判定性(?)みたいなものを感じました。
で、それはそうと、この逆は成り立つでしょうか?
つまり、単葉型のRiemann面はSの部分領域になるでしょうか?
なんとこれがなるんです!すごいですね。
証明はかなり大変です。
単一連結な場合のみ書きます。(といってもほとんど何も書いていません。)
まずR上のqをS上の原点に写すような局所座標p→z=z(p)を取っておいて、R上の点とS上の点をある意味で同一視しておきます。
qを含む単位円板U_0を取ってその周上で虚部が一定値を取るような関数を考えるとS(z)=z+1/zが当てはまります。(虚部はy(1-(1/(x^2+y^2)))ですからちゃんと円周上で消えます!)
これにDirichletの原理を適用するとR上の解析関数fで
f=S(z)+f_0 (f_0はU_0上の正則関数)
なるfが取れます。これはR上qを除いて正則です。
実はこのfがRをSの一つの領域に写す、1対1の双正則写像になっていて、像をSから除くと各連結成分が1点か線分になっていることがわかります。
で、ゴリゴリ場合分けして計算をすると単一連結なRはRiemann球面Sか複素平面Cか単位円板Uのいずれかに双正則同値になります。
この結果はRiemannの写像定理を含んでいます。
読んでみて思いましたが、やはり具体的にゴリゴリ計算する小平先生のスタイルはとても馴染みますし、図もたくさん入っていてとても助かります。
『数学の学び方』で描いてあった掛谷先生の何かの値を具体的にとる大変さやある意味での腕力の重要性を感じました。
まだまだこの本は読み終わってないのでまた勉強し次第何か書こうと思います。
ではありがとうございました。
P.S.
今日の勉強のお供はアニメでした、四畳半神話体系です。後半の7話からみました。
10話11話を見ていてなぜかGroundhog Dayを思い出しました。
英語でThe Tatami Galaxy Groundhog Dayと検索したら案の定同じことを考えた人がいました。
あの映画も名作だと思いますので見ていなかったらぜひ。